
救急看護って難しい。恐いしイメージもある。
患者がいきなり急変したらどうしよう。



こんな症状の人が来たらこんな疾患の可能性が高い!
という予測を立てることが大切です。
しかし、最初から決めつけてしまう事は危険です。
一緒に学び、苦手意識を克服しましょう。


病棟勤務7年後、救急・外来業務を経験・DMAT隊員
放送大学にて教養の学位を取得する。
院内のキャリアラダーでインストラクターを行っている。
看護師経験15年です。
得意分野:カテ看護・災害看護・マネジメント
放射線科看護・内視鏡看護
こんな人におすすめです!
新人看護師
看護記録が苦手な人
急変対応に苦手意識のある人
前提として


これから紹介する症状に対して様々な疾患が考えられます。
これから紹介するのは、緊急性が高い疾患や、救急看護で出会うことが多い疾患になります。



胸痛=心筋梗塞
と思い込んではいけません。
あくまでも可能性であり、複数の疾患が隠れていることあります。
視野を広く持ち、可能性を考えることで対応が早くなります。
それでは本題に入りましょう。
呼吸苦


心不全
心臓のポンプ機能が低下することで、血液が停滞し、
肺や下肢の血液も渋滞してしまいます。
血液が渋滞し、流れが悪くなると血管から水分が出ていきます。
そのため、足が浮腫んだり、肺に水が溜まります。
これが、心不全になります。
そのため、呼吸苦を訴えてくる患者が多いです。
高齢者に多い印象があります。



私の場合、高齢で呼吸苦を訴えている患者はまず足の浮腫を見ます。
また、心不全の患者は脈圧が小さくなります。
脈圧とは
上の血圧と下の血圧の差です。
血圧130/80の人の脈圧は50です。
そして、心拍数は早くなります。(心機能が悪い分、回数で補おうとします。)
心不全の看護
まずは、体を起こしてあげましょう。
体をギャッチアップすることで、肺が広がり呼吸が楽になります。
また、これは医師の指示になりますが、早期に血圧のコントロール(主に降圧)。
利尿が必要となります。
フロセミドなど利尿剤を使用する場合には尿道留置カテーテルを挿入しましょう。
指示がなければ、医師に確認しましょう。
酸素投与も必要です。
安静が必要になりますので、患者家族に説明し理解を得ましょう。
心不全は心筋梗塞や弁膜症、高血圧など・・・
原因となる疾患を抱えていて、最終的に発症します。
今後、高齢者が増加するとさらに増えてくる疾患になります。
見逃すことなく早期に対応できるようにしましょう。
気胸
肺に穴が開いてしまい肺がしぼんでしまいます。若い男性にも多い疾患です。
若い男性で、呼吸苦を訴える患者が来たと聞いたら・・・



もしも、情報がそれだけだったとしたら、喘息や気胸、または精神的な疾患を私は考えます。
緊張性気胸とは、気胸により肺に穴が開いて空気が胸腔内に漏れます。
漏れる空気の量が増えると胸腔を空気が圧迫します。
それにより、心臓が圧迫され、心臓が上手に動けなくなってしまいます。
緊張性気胸は呼吸だけでなく、循環動態も障害させショック状態になります。


主に交通事故などの外傷で起こることが多い印象です。
間質性肺炎やCOPDなど肺疾患を持っている患者では重症化しやすいので注意しましょう。


肺塞栓
肺塞栓は「エコノミークラス症候群」なんて呼ばれている疾患です。
飛行機などで長時間足を動かさないでいると、血液の流れが悪くなり血栓ができてしまいます。
そして、飛行機が到着して動き出したときにその血栓が飛んで肺で詰まります。
これは、静脈にできた血栓なので、下大静脈→右心房→肺動脈という流れで運ばれます。



患者は呼吸苦や、胸痛、またはふらつきなどを訴えてきます。


肺塞栓の症状は詰まった血管の大きさによって変わります。
肺塞栓の患者の20%は失神発作を起こすと言われています。
カテーテル治療や手術にもなりうる疾患です。
早期に発見できる観察眼を持ちましょう。
胸痛


心筋梗塞
胸痛=心筋梗塞とイメージする看護師も多いのではないでしょうか。
それは、患者数も多く、緊急度が高いからだと思います。



胃が痛い。
なんて訴える患者も多いです。
心筋梗塞による胸痛の特徴として、痛いところを指で刺すことができない患者が多いです。



胸のどこが痛いですか?



んー。何となくここら辺・・・
このように痛いところをピンポイントで教えることができない痛みを訴えます。
「ここが痛いです。」と言えるような痛み患者は別の疾患であることが多いです。
これはあくまで私の経験上の話なので、全てに当てはまるわけではありません。
心筋梗塞は早期の治療が必要な疾患の一つです。
心電図の検査で診断がつくことも多く、心電図は侵襲も少ない検査のため早期に心電図を取ることをおすすめします。



カテーテル検査をする場合は、早期に治療する事での診療加算もありますので病院としても心筋梗塞(虚血性冠疾患)の早期治療に力を入れるメリットがあります。


逆流性食道炎
緊急性は少ないかもしれませんが、食道炎や胃潰瘍などでも、胸痛を訴えることがあります。
逆に胃痛を訴える場合でもしんきんこうそくなどの緊急性の高い疾患が隠れていることがあります。
注意して観察をしましょう。
腹痛


消化管穿孔
消化管穿孔はその名の通り消化管に穴が開いて空気が漏れます。
空気だけではなく、消化管の内容物も腹腔内に漏れます。



消化管穿孔の患者はものすごい痛みを訴えます。
のたうち回って、じっとしていられない患者も多いです。
おなかも触ると固くて、押すと痛みを訴えます。
腹壁の緊張と、圧痛、筋性防御なのなどの症状に加えて
冷汗、顔面蒼白などの症状も見られます。
緊急手術になることも多い疾患です。


イレウス
イレウスと言っても原因は様々です。麻痺性や絞扼性、癒着性など様々ですが
絞扼性のイレウスの場合には緊急手術が必要になります。
絞扼性イレウスとは・・・
腸管の血行障害を伴っている場合は「絞扼性(こうやくせい)イレウス」と呼びます。原因として、癒着、ヘルニア嵌頓(かんとん)、腸重積、腸軸捻転などがあります。血行障害が続けば腸管が壊死するので、早期の治療が必要です。また、習慣的な便秘により弛緩・拡張した大腸がねじれ、「絞扼性イレウス」を起こすこともあります。
https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/ileus/
早期に腸管の虚血を治してあげないと腐ってしまいます。
これも、冷汗をかいてもだえ苦しむ位の腹痛です。
アセトアミノフェン1000㎎とか点滴してもあまり聞きません。
手術をする可能性がある急性腹症って鎮痛剤が使いにくいみたいです。
なぜなら、そのあと手術で薬剤を使用するからです。



麻薬とか、ソセゴンとか使ってあげたいけど、このあと手術になると思うと・・・
これは、主治医と相談してみましょう。
大動脈瘤破裂
胸痛にも通じますが、大動脈瘤の破裂は緊急性の非常に高い疾患です。
致死率が高いからです。



もちろん、痛みを訴える患者も多いですが、
その後、循環血液量血流量の低下により
不穏状態になり、暴れまわり、
意識消失し、死亡するという経過をとることが多いです。
高血圧や動脈瘤を持っているのかなどの既往歴なども重要な観察項目となります。
また、造影CTなども重要な判断材料です。


私の病院では、大動脈瘤の手術はできないため、心臓外科のいる病院に転院搬送行います。
頭痛
くも膜下出血
頭痛で一番緊急性の高い疾患はくも膜下出血ではないでしょうか。
くも膜下出血とは、
くも膜下出血は脳動脈瘤と言われる血管のふくらみがある日突然破裂することによって起こります。原因としてはこの脳動脈瘤破裂が殆ど(80から90パーセント)です。頻度は1年で人口10万人あたり約20人(日本)、好発年令は50から60才台、女性が2倍多く、危険因子として高血圧・喫煙・最近の多量の飲酒、家族性などが言われています。
https://www.akita-noken.jp/general/sick/brain-nerve/page-2062/
くも膜下出血による頭痛は今まで経験したこともないような激しい頭痛です。



私の経験から言うと、そこまで激しい頭痛でなくでもくも膜下出血ことがあります。
出血量にもよりますが、出血量が多い場合は痛みを伴うと同時に意識障害も生じるため痛みの程度を判断できないのかもしれません。
くも膜下出血はCTで判定できることが多いです。
その後、出血源を精査するためには造影剤を使用してアンギオグラフィーや造影CTを行う必要があります。



なぜなら、一度破裂した動脈瘤が再破裂する可能性があるからです。
ニカルジピンなど降圧剤をシリンジポンプで滴下し、プロポフォールや麻薬などを使用して鎮静・鎮痛します。
一度破裂した動脈瘤や出血を無くすことはできません。
再度出血して悪化することを防ぐことが治療目的になります。
めまい


小脳出血・梗塞
めまいの原因も様々あります。
耳鼻科領域の良性発作性頭位めまい症(BPPV)やメニエール病、精神的な場合など様々ですが、
救急として覚えていてもらいたいことは、小脳の障害によるめまいです。
小脳出血や小脳梗塞によるめまいは否定をしなくてはなりません。
どちらも死に至ることは稀ですが、早期に治療する必要がある疾患です。
めまいを訴える患者が来た時には忘れないようにしましょう。
まとめ


しかし、同じようですが予測して行動することは非常に大切です。
あくまで可能性であり、色々な疾患を併発している可能性もあります。
様々な可能性を疑いながら看護をしてみてください。
ではまた。
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