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造影剤アレルギー出現時の対応について~現役救急看護師が教えます~

アレルギーって恐いですよね。
造影剤って検査前に必ず同意書貰うし危険な検査なのかな。
もし私が遭遇したらどうやって対応したらいいんだろう。

パパナース

造影剤はある一定の確率でアレルギー反応を起こします。
これは防ぐことができません。
大切な事はもし起こってしまった時に適切な対応がとれるかどうかです。
このブログで学んだことを臨床で活かしていただけると嬉しいです。

パパナースプロフィール

看護師歴15年

病棟勤務7年後、救急・外来業務を経験

DMAT隊員

放送大学にて教養の学位を取得する。

院内のキャリアラダーでファシリテーターを行っている。

得意分野:カテ看護・災害看護・マネジメント・放射線科看護・内視鏡看護

この記事を読むべき看護師

  1. 新人看護師
  2. 造影剤を扱う部署の看護師
  3. 外来に配属になった看護師
  4. 教育を担当するようになった看護師
目次

造影剤とは

造影剤って何?

造影剤は、主にCTやMRIなどの放射線を使用する検査の際に使用される薬剤です。

画像診断の診断能を向上させるために用いる薬剤全体を意味します。

体の異常をわかりやすくする薬剤で、おもに腕の静脈から注入します。

病気の中には造影剤を使用しないと見つけることのできない病気がたくさんあります。

危険はないの?

造影剤の副作用は、大部分が発疹やじんま疹、かゆみなどの軽い皮膚症状です。

しかし、ごくまれにショックやアナフィラキシー様反応などの重い症状を起こすことがあります。

副作用の発症時間のほとんどが、使用後ごく短時間の内に出現しますが、まれに1~2時間後から数日後にかけて遅れて出現する場合があります。(遅発性の副作用)

時間に反比例して症状は軽いことが殆どです。

パパナース

造影剤投与後、数日たってから呼吸困難や血圧低下などが起こることは考えにくいです。

どんな人が発症しやすいの?

  • 今までに造影剤による副作用を起こしたことのある方
  • 喘息などアレルギー性疾患をお持ちの方(アレルギー体質の方)
  • 心臓の病気、腎臓の病気、糖尿病、甲状腺の病気をお持ちの方
パパナース

造影剤にも種類がありますのでCTなどに使用するヨード造影剤を基本に話しています。

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実際の事例について

パパナース

ここでは実際に体験した事例についてお話しします。


事例1

CT検査にて造影剤投与終了後。

患者を検査台から降ろそうとしたときに、

気持ち悪い・・・

気分不快が出現し、嘔吐。

血圧80mmhg台のため、下肢挙上しショック体位へ。点滴は輸液を全開で滴下。

放射線診断医へ連絡する。

その後すぐに症状は軽減し、検査室の看護師付き添いで外来で経過観察し帰宅となった。

パパナース

大切な事はその場から離れないこと。
そして、近くにいる放射線技師などに声をかけること。
緊急時の対応は日ごろからシミュレーションなどで備えておこう。

事例2

CT造影検査終了後。

直後にくしゃみあり。

別に大丈夫です。

その後呼吸苦など見られないため、点滴を抜去しようとしたときに意識消失。

その場にいた看護師は応援要請し、院内緊急CALL発動。

呼吸と脈拍はあったためCPRは施行せず、すぐに救急センターへ搬送。

入院となった。

パパナース

検査直後は何もなくても、数分後に発症することもあります。
くしゃみや咳は非常に重要な初期症状です。
このような症状があった場合には注意が必要です。

すぐに救急センターに運ぶというのは非常に有効な方法です。
しかし、その場で対応できるように緊急Callや救急カート
AEDの場所などは把握しておきましょう。

事例3

以前に造影剤にてアレルギー反応起こしたことあり。検査前にステロイド剤の内服指示があり内服している。

CT検査終了後、顔面に発赤あり。

体幹を確認すると膨隆疹あり。

少しかゆいかな。

呼吸器症状なし。バイタルサインも異常なし。

放射線科医に連絡し、経過観察し問題なければ帰宅可能の指示あり。

パパナース

造影剤は副作用歴がある場合は使用を控えるべきですが、医師が必要と判断した場合には使用します。
その際に、ステロイド剤を事前に内服してくることがあります。
しかし、これは確実に副作用を予防できるわけではありません。
注意して観察する必要があります。

日本放射線学会の提言

ヨード造影剤ならびにガドリニウム造影剤の急性副作用発症の危険性低減を目的としたステロイド前投薬に関する提言(2018年11月改訂版)

日本医学放射線学会 造影剤安全性管理委員会

ヨード造影剤ならびにガドリニウム造影剤の投与により、急性副作用を生ずることがあります。その症状は、軽度の蕁麻疹や悪心から、心肺停止に至るものまでさまざまです。その発生を確実に予知・予防する方法は存在しませんが、危険因子は知られており、1)造影剤に対する中等度もしくは重度の急性副作用の既往、2)気管支喘息、3)治療を要するアレルギー疾患、等とされています(1)。しかし、これらが存在しても直ちに造影剤の使用が禁忌となるわけではなく、リスク・ベネフィットを事例毎に勘案して投与の可否を判断する必要があります。

急性副作用発生の危険性を軽減できるかもしれない方法として、ステロイド前投薬が試みられることがあります。その有効性について明確なエビデンスはありませんが、急性副作用の少なくとも一部がアレルギーあるいは過敏症によると推定されているため、試みる価値があると考えられています。

前投薬としてのステロイド投与方法としては、従来、造影剤投与直前に静注することが一般的でしたが、現在ではステロイドの抗アレルギー作用を充分に発揮させるためには、理想的には造影剤投与の6時間以上前に投与することが望ましいとされています。しかし先般行った日本医学放射線学会造影剤安全委員会による全国アンケート調査の結果では、ヨード造影剤の場合には20.7%、ガドリニウム造影剤では18.8%で造影検査の直前にステロイドを静注する手法がとられていました(2)。

当委員会は、急性副作用発生の危険性軽減のためにステロイド前投与を行う場合には、緊急時を除き造影剤投与直前ではなく、充分前に行うのが望ましいと考えます。参考として米国放射線医会(ACR)のガイドラインに基づくプロトコールを示します(処方例は、ガイドラインを一部変更したものです) (1)。

ただしステロイド前投薬を行っても、造影剤による副作用を完全に防ぐことはできず、副作用が再び発現することがあり、これはbreakthrough reactionと呼ばれます。また前投薬として使用するステロイドによる副作用のリスクもあり、加えて前投薬使用による経済的負担にも考慮する必要があります。このためステロイド前投薬を行って造影検査を実施する場合には、事前に十分なインフォームドコンセントを得た上で、副作用発現時への対応を整えて実施することが望まれます。

<American College of Radiology Manual on Contrast Media ver.10.2に基づくプロトコール> (1)

下記のいずれかを実施する。

1.プレドニゾロン50mg(プレドニゾロン錠など各社製品あり)を造影剤投与の13時間前、7時間前、および1時間前に経口投与する。

2.メチルプレドニゾロン32mg(メドロール錠)を造影剤投与の12時間前と2時間前に経口投与する。

上記1,2に、抗ヒスタミン剤を追加してもよい(ジフェンヒドラミン50mg [レスタミンコーワ] を1時間前に筋注、皮下注または経口投与)。

3.経口投与ができない場合には、デキサメタゾン7.5mg(デカドロン®など)、もしくはベタメタゾン6.5mg(リンデロン注®など)などのリン酸エステル型ステロイドを静注してもよい。その場合は、急速静注は禁忌であり、1-2時間以上かけて点滴投与が望ましい。(3)

注意:ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロンなどのコハク酸エステル型ステロイドを静注で用いると、喘息発作を誘発することがある(特にアスピリン喘息の患者)ので勧められません。経口ステロイドにはこのような危険性は少ないとされています。(4)

パパナース

要するに、ステロイドを使っても完全に副作用は予防できないから、リスクのある患者に使う場合にはしっかり準備と対策をして、患者が納得した上で検査してください。

と言っています。
また、検査直前に使っても効果ないから6時間前くらいから投与してくださいとも言っています。

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アレルギー対策はどうするの?

急変時シミュレーションを行う

私の病院では年に1回放射線室で急変時のシミュレーションを行っています。

放射線室では造影剤などアレルギーを誘発させる薬剤を使用する。

AG室など放射線管理区域である。

といった特殊性から定期的にシミュレーションをおこない急変に備えています。

ここで、大切なことは、

  • 必ず多職種で行う                
  • シミュレーションは行った後の振り返りが一番大切
  • 可能であればビデオ撮影して振り返る

院内のルールを決めておく

院内で統一したルールを決めておきましょう。

特に急変時は慌ててしまうのでフローチャートなどを作成しておくと良いでしょう。

造影剤アレルギーによるアナフィラキシーショックを疑った場合には服の上からでもアドレナリン0.4mmgを筋肉注射します。

初期症状でも重篤な症状に移行する可能性があり、どのように動くのかルールを決めておくことは非常に有効でしょう。

パパナース

誰でもできる体制に整えておきましょう。

必ず記録に残す

アレルギー反応が見られた場合には必ず記録に残しましょう。

私の病院では、

看護師と医師はカルテに記載する

放射線技師は看護師と協力して造影剤アレルギー発生報告書に記載する

と院内のルールで決まっています。

電子カルテ上でアレルギーの記載をすると次回検査入力時にアレルギー歴があることが表示されます。

そのため、医師は検査オーダー前に確認することができます。

まとめ

急変というものは忘れたことに起こるものです。

そして、失敗は許されません。

患者の命がかかっています。

急変も災害も備えることが大切です。

多職種で連携し安全な検査が提供できる環境を目指してください。

ではまた。

SEE YOU!!!!!


パパナース
このブログはママナースと一緒に行っています。
パパナースプロフィール
病棟勤務7年後→救急外来(看護師歴15年)
DMAT隊員
得意分野:カテ看護・災害看護・マネジメント
2年前に株式口座を楽天証券で開設→積み立てNISAを始める。
月2万の積み立てで利益率30%を達成する。
始めは全米インデックスファンドのみだったが、J-REITや新興国株、TOPEX連動の投資を増やす。
ETFやビットコインを少しづつ購入して投資の勉強を行っています。
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